続・はぐるま

くるくるまわる、僕のはぐるま…

プロフェッショナル 1

※多分フィクションです
https://www.youtube.com/watch?v=ygB4Y36cEXQ&feature=youtube_gdata_player


東京都西部……木造アパートが立ち並ぶ住宅街の一画
ここにみくのアパートがある。プロオペレーターの自宅である。


日本有数のプロオペレーター
彼女の仕事は決して世間の表舞台に知らされるものではない
我々はみくの一日を追った


朝、6時40分ーー
目覚ましが数十分なっても起きないみくの姿を発見した。
半同棲状態の彼氏に厳しく起こされ、7時にしぶしぶ起きる。
『会社にいきたくないでござる…いきたくない……』
そういいながら、彼のうちから自分のうちへと帰るみくに気づくものはいない。

ーーーQ おはようございます 半分寝てますが大丈夫ですか?
私「え、ええ、これが勤めってやつですから。半分目をあけてあるくのは気を遣うんですよ。なれるまで大変でした。」ーーー
家に帰ると半分寝ながらシャワーを浴び、浴び終わると早々に半分寝ながら今日のワンコを見る。ワンコを見ながら飲む栄養ドリンクが、みくにとっては至福の時間である。
ーーー私「ここ数年、ずっと目覚ましテレビですね。俺なんかが仕事やれてるのは、今日のワンコと栄養ドリンクの支えがあるからです。支えられてばかしじゃなく、こうやってじゃんけんもしないとね。」ーーー
そう語り、グーで負けるみくの目に迷いはない。
占い8位でまけ……まさに勝負師の顔だ。そんな顔をしつつ足早に家をでる。


ーーーQ なぜもっと早めに家を出ないんですか?
私「いや、このギリギリ感が勝負なんですよ。毎日是勝負。
ほら、余裕のある人生なんて台本通りでつまらないじゃないですか。」ーーー
こんな時も勝負師の心を忘れないみくの姿勢に、プロフェッショナルの気概を感じた。
ーーー私「・・・あぁ、吉祥寺で緊急停止ボタンか。ツイートせねば」ーーー
携帯電話を握りしめ、仲間たちに喚起を促す。まさに朝は戦場なのだ。
結局この日は半分寝ながら8時52分に都内某所の会社に着いた。


8時56分ーー
オフィスに入り、挨拶も早々に適当な席に座り水筒のお茶を飲む。
これが彼女の日課であり、オフィスでの最初の仕事でもある。
ーーーQ いきなり一服ですか?
私「いや、これが仕事を円滑に進める秘訣なんですよ。自分の淹れたお茶と一日を共にするわけですから、一服ではなく大切な仕事なんです」ーーー
今日のお茶は玉露の味が効いている……彼女はYahoo!ニュースを見ながら同僚の話に耳を傾ける後ろ姿をスタッフは見逃さなかった。


9時ーー
全体挨拶が終わるとミーティングが始まる。かつて……左遷を経験しているみくにとってミーティングには人一倍の入れ込みがある。左遷時代『今日の予定はありません』を数人の前で言うのが彼女だった。プロフェッショナルにはそんな過去もあったのだ。
だが今は違う、、『夜間は8件の引き継ぎと、故障の模様は…』仲間がいう内容をただただ口を開けてきく。そして作業安全のためにぼそぼそと標語を読む。これがプロフェッショナルの気概である。
ーーーQ どうしてぼそぼそ読むんですか?
私「仕事はチームプレイです。標語を読むにもみんなの声がよく聞こえるように努める、まさに一人はみんなのため、なんですよ。」ーーー
みくにキラリと光るものがあった。


9時20分ーー
みくには『自席』がない。プロフェッショナルみくにとって自席即ちオペレーター席数十席が自席である。しかしそのなかで、みくはできるだけ課長と席がはなれたところを選び座る。
ーーーQ どうして課長と離れた席なんですか?
私「課長も日々我々にのために尽くしてくださってますからね。それに顧客ニーズは日々目まぐるしく変わる時代ですから、そんなときこそ変わらない距離感、バランスも必要なんです。」ーーー
ディスプレイ角度を調整して、課長から見えないようにする。お互いに距離感を守り確実にミッションをこなす仕事人みくの姿が印象的だ。


10時30分ーー
オペレーター席の一角、みくの席に『申し訳ありません!!』の嵐がやって来る。誰もが嫌がるクレーム対応だ。だがしかし、みくは進んで行う。なぜだろうか?
ーーーQ すすんでクレーム対応していますがなぜですか?
私「しっ……静かに。これを見て。」ーーー
指を指した彼女のCTI端末には『休憩中』の文字。
「休息も必要だし、仲間の士気を高めることも重要、一挙に解決できますから。」プロフェッショナルの心意気と周りへの気遣いが感じられた。



【多分続く】